法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会への要望書

現在進められている「株主提案権の制限」についての審議会に下記のように要望書を提出しました。

提出日2017年9月25日

法制審議会会社法(企業統治等関係)部会 部会長様

委員の皆様

幹事の皆様

 

脱原発をめざす北電株主の会、脱原発東北電力株主の会

脱原発・東電株主運動、脱原発!中電株主といっしょにやろう会

北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会、脱原発へ!関電株主行動の会

脱原発へ!中電株主行動の会、未来を考える脱原発四電株主会、九電消費者株主の会 

 

要望書

【要望の項目】

1)   “株主提案権を行使する権利”を制限しないでください

2)   議決権行使書の閲覧を制限しないでください

3)   議事録は速やかに公開してください

 

【要望の理由】

 株主提案権の制限について、第2回の審議会において提出議案数を10個に制限するという案について議論が行われたことを、会議の約3ヶ月後に公開された議事録で確認しました。まだ議論は半ばで、第3回の審議会で続きが議論されたようですが、この議事録がでるのを待っている間に、とりまとめが行われることが懸念されますので、改めて要望いたします。

 電力会社の総会における株主提案では、議案内容について会社の株式課と「株主の会」事務局の間で事前に調整を行っており、そもそも議案として認められる内容かどうか審査され、場合によっては字句や表現を修正のうえ、最終的に確定した議案を会社に提出しています。議案数に関しても、会社側と株主の間で事前の交渉において調整することは可能ですし、すでに実際に行なわれていることです。

 当審議会においても「ごく一部というか少数の例をもってして株主提案権の行使という重要な権利について数を制限しなければいけないのかどうかという点については,慎重に検討する必要があるのではないか」という指摘がされているところですが、まさにこの指摘の通り、ごく少数の株主の常識はずれの行動を口実にして、すべての株主に対して一律に提出議案数を制限するのは疑問があります。また議案内容と議案数は不可分なものなので、一律に数を制限するのは合理的根拠がないのではないでしょうか。

 また、議事録を拝見するところ、実態とは異なる発言をされている委員がいらっしゃるようです。このような事実誤認に基づく審議により結論が出されては困りますので、以下に二点を指摘させていただきます。

 ひとつは、第2回審議会での株主提案の趣旨説明および審議の時間に関する古本委員の発言です。

「仮に10個の提案がなされたといたしまして,1議案当たり趣旨説明が5分,会社の反対意見表明,質疑で10分といたしますと,全部で150分掛かるということになります」と発言されています。けれど電力会社9社の状況は、1議案あたり趣旨説明は3分に制限、または議案数によらず趣旨説明の時間に上限を設けている例もあります。会社側の反対意見表明は書面のみ、質疑はすべての議案一括で行われ、株主の審議内容への理解を妨げており、十分な審議時間の確保を会社側に求めているのが現状です。

 もうひとつは、第1回の審議会での議決権行使書の閲覧の制限に関する古本委員の発言です。「議決権行使書面についてですけれども(中略)経団連の会員企業から伺っている一番切実な声といたしましては,住所を見たいといってくるのではなくて,要するに会社を困らせてやろうという趣旨から閲覧権が行使されている現実があるという訴えがなされております(中略)。ハラスメントに近いことが行われている」とあります。4月24日に提出した要望書(添付の別紙)にも書きましたが、私たちは、株主提案をすることで、真に対話のできる株主総会を目指しています。決して会社を困らせようとして行っているものではありません。閲覧の日時や所要時間については、担当課と事前に相談して調整したうえで閲覧しており、対応される担当課の職員の皆さんも正当な株主権の行使として認識されています。

 私たちの団体は多くの株主と共同で株主提案をしています。そのために毎年、議決権行使書の閲覧をしています。数百から千をこえる数の議決権行使書を閲覧し、住所を書き写し、共同提案しませんかという手紙を出しています。これは株主提案のために必要不可欠な重要な作業です。

 また議決権行使書から住所の記載を消去することについて、「負荷が重すぎて現実的ではない」という発言がありましたが、わたしたちが閲覧している議決権行使書では、住所の記載がない電力会社がすでに9社中4社あります。数年前から住所の記載がなくなり、株主名簿を管理している信託銀行証券代行部まで行って住所を書き写すようになりました。たとえば北海道電力の株主の場合は、東京まで足を運ぶ必要があったのです。現在は、本社のある自治体で住所の書き写しができるようになっていますが、それでも議決権行使書の閲覧と住所の閲覧の2度の作業が必要です。

 すでに議決権行使書の閲覧は制限されています。今後ネットでの行使が増えれば、もっと作業が煩雑になります。議決権行使書の閲覧ができなければ、一般の少数株主が共同で株主提案をすることはできなくなります。これ以上の閲覧の制限が行われることがないよう要望します。

 最後に、議事録は速やかに公開してください。

 第2回会議は5月24日に開催されましたが、記事録は3ヶ月後の8月24日前後にようやく公開されました。公開までにあまりに日数がかかっている上、議事要旨では議論の項目はわかっても、議論の中身まではわかりません。このままでは、半ば密室で審議がすすめられ、議論の中身が知られないまま、とりまとめになることが危惧されます。

 議事録の速やかな公開だけでなく、前回も要望したように、審議会の傍聴を認めることや、動画同時配信なども、ぜひ検討をお願いします。