2019年関電株主総会 株主提案議案

2019年 第95回 関西電力株主総会 提案議案
第 号議案 剰余金処分の件
▼提案の内容
当期末における剰余金の配当について、会社側提案より1株あたり5円多
くする。
▼提案の理由
当社はHP に「原発は家計の味方」と書いている。昨年の株主総会で間違
いを指摘したが、そのまま放置している。1月18日の日本経済新聞によれ
ば、2010年、太陽光発電の発電単価は25だったが、2018年には5
で5分の1に下がっている。一方原発のコストは10から15、1.5倍に
増えている。(単位は米セント/ kWh、米投資銀行の資料より、廃炉、廃棄
物処分の費用は含まれない)
経産省による太陽光発電の買い取り価格は2012年には1kWh 当たり
40円だったが、2018年は18円、2025年には7円まで下げること
を目標にしている。原発のコストは値上がりし、太陽光発電のコストは急速
に値下がりしている。
HP に自分たちにとって都合のいい、間違った情報を載せるのは、イメー
ジダウンでしかない。無駄で間違った広告をやめて、株主の配当に回すこと
を提案する。
第 号議案 取締役解任の件
▼提案の内容
以下の取締役を解任する。
取締役 岩根 茂樹
▼提案の理由
東日本大震災による福島原発の大事故が延々と継続し、更なる被害と汚
染が拡大する中、高浜原発大飯原発の再稼働を強行し、我が国を亡国に
導こうとしていること。

2 7年に渡って株主総会で当社の管内トップ3市、大阪市京都市、神戸
市から出された「再稼働反対」、「脱原発」への株主提案や意見をことご
とく無視し続けていること。
3 「お客さまと社会のお役に立ち続ける」ことを掲げながら「脱原発」を
求める電気消費者の圧倒的な声に耳を傾けないこと。
4 不必要な『中間貯蔵施設』の建設について、再稼働の条件であった福井
県との約束を反故にし、原発を動かし続け、関係自治体の不信と混乱を更
に増幅させていること。
5 原発依存によって経営悪化を招き、株価を低下させ、株主に多大な損害
を与え続けていること。
6 経営環境の悪化を従業員・下請労働者の労働強化でしのぎながら、一方
で不必要な役員・顧問を多数抱え、不当に高い報酬を支払っていること。
第 号議案 定款一部変更の件(1)
▼提案の内容
「第4章 取締役及び取締役会」に以下の条文を追加する。
(取締役の報酬の開示)
第 条 取締役の報酬及び業績を個別開示する。
▼提案の理由
当社は2006 年、役員の退任慰労金制度を廃止した。しかし昨年の株主
総会で退任時に当社株式の交付を行う株式報酬制度導入を決定した。当社の
役員報酬は基本報酬と業績報酬で構成されるが、役員の業績が具体的に示さ
れることはない。
現在行われている法務省法制審議会会社法制部会において、「役員が賠償
を迫られた時のために、会社が保険料を拠出することができる」という要綱
案が発表されている。水俣病、森永ヒ素ミルク事件、薬害エイズ、福島第一
原発事故など会社の過失により市民が犠牲になった事件は後を絶たず、役員
が責任を問われることは希である。この上、保険料まで会社が負担するのは
許されない。原発推進の企業として責任の所在が希薄になることが危惧され
る。株主が取締役に対して会社への賠償を求めて訴訟を行い勝訴しても会社

がその保険料を支払えば訴訟の意味がない。
取締役としての社会的責任を明確にするため役員報酬の個別開示を求め
る。
第 号議案 定款一部変更の件(2)
▼提案の内容
当社の定款に以下の章を新設する。
第 章 廃棄物の処理、管理
第 条 当社は安全に処理、処分、管理できない廃棄物を排出しない。
▼提案の理由
一昨年当社は福井県の要請に応え、使用済核燃料の県外貯蔵計画地を昨年
中に公表すると約束し、それと引き換えに県は大飯3・4 号の再稼働に同意
した。だが当社はその約束を果たせず県知事に陳謝し、計画地点公表を
2020 年まで先延ばしした。核燃料サイクルは破綻しており、使用済核燃料
の中間貯蔵を受け入れれば、永久の核のゴミ捨て場になるのは明らかで、引
き受ける自治体はどこにもない。当社の既存原発の敷地内乾式貯蔵構想は長
年に亘って築いてきた「県外立地」を主張する福井県との信頼関係を踏みに
じるばかりか危険性も増すばかりであり、原発稼働の延命策でしかない。決
定的な処分方法も処分地も不明なままに使用済核燃料を増やす原発は一刻
も早く止めるべきである。また無駄な広告は止めて、原発は電気を生み出さ
なくなってからも莫大なコストが必要であることを消費者に説明し、原発
不経済性を周知するべきである。
第 号議案 定款一部変更の件(3)
▼提案の内容
当社の定款に以下の章を新設する。
第 章 出資、債務保証の制限
第 条 当社は、日本原子力発電株式会社に対して、出資および債務保証
をしない。
▼提案の理由

2012年以降、当社は日本原電からの電力供給をまったく受けていない
が、昨年までに約1530億円もの電気料金を支払った。日本原電保有の敦
原発2号機は直下に活断層があると指摘され、再稼働は見通せない。
東海第二原発は運転開始から40年を超えており、報道では安全対策費
は約3000億円にものぼる。その東海第二のために東電をはじめ電力各
社が出資、債務保証をし、当社も新たに200億円をこえる債務保証をす
るとの報道があった。東海第二の再稼働に必要な周辺自治体や住民の同意
が得られることは困難で、訴訟リスクもあり、出資や債務保証は当社に重
大な損失を与える。
当社は原発再稼働のための日本原電への出資や債務保証をしてはなら
ない。同時に、日本原電との契約を見直し、年間約200億円以上にもの
ぼる受電なき支払いをやめるべきである。そして、日本原電の業務態様を
廃炉事業へ転換すべく株主である電力各社と協議に入るべきである。
第 号議案 定款一部変更の件(4)
▼提案の内容
当社の定款に以下の章を新設する。
第 章 再処理の禁止
第 条 当社は再処理をせず、プルトニウムを利用しない。
▼提案の理由
日本の高速増殖炉もんじゅ廃炉が決定し、仏国のアストリッド高速炉は
2019年で予算打ち切りと報道された。英国は2018年にソープ再処理
工場を閉鎖し、米国は2018年にMOX 燃料の利用を中止した。
日本は47t のプルトニウムを所有、これは原爆5千発分に相当する。そ
れでも核燃料サイクル計画を放棄しない日本は、国際社会から「核武装を考
えているのではないか」と疑惑の目でみられている。このため政府は昨年7
月のエネルギー基本計画に「プルトニウムの削減に取り組む」と明記した。
全国各地の原発MOX 燃料を燃やし、プルトニウムを消費する計画だが、
MOX 燃料はコストも高く、危険で、使用済核燃料の行き場もない。

プルトニウムを削減するには再処理を止めるしかない。六ヶ所再処理工場
にはすでに数兆円がつぎ込まれたが、放射性廃棄物を再処理せず、直接処分
する方がコストも安く危険性もはるかに少ない。再処理の禁止を提案する。
第 号議案 定款一部変更の件(5)
▼提案の内容
当社の定款に以下の章を新設する。
第 章 脱原子力
第 条 当社は原子力発電を稼働しない。
▼提案の理由
福島原発事故後の電力業界は、3 つの変革(電力自由化福島原発事故
理、再生エネルギー展開)の中で、経営主体性を次第に失っている。電力自
由化とは、他の地域の顧客を奪い合うことではないはずだ。電力会社は電気
の製造会社であり、製造業の主役は「現場」であるにも関わらず、新しい変
革の制度設計は、現場を知らない官僚、外部識者により、バラバラに議論さ
れており、制度の矛盾が発生している。当社は官僚らの言いなりにならず、
総合的な視点で創造力溢れた指導力を発揮すべきである。原発の取扱いにつ
いても、エネルギー基本計画、原発再稼働・運営・廃棄物処理がバラバラに
無責任に議論されている。経営判断として原発は明らかに合理性に欠けてい
る。最多の原発を抱える当社は、電力会社の中でリーダーシップを取るべき
である。勇気を持って脱原発を提案してほしい。電力会社に対する国民の信
頼性を回復する鍵は、当社の勇気ある判断にかかっている。
第 号議案 定款一部変更の件(6)
▼提案の内容
当社の定款に以下の章を新設する。
第 章 原子力発電所老朽化対策検討委員会
第 条 当社は原子力発電所の老朽化対策の検討委員会を設置し、稼働4
0年を超える原発は運転しない。
▼提案の理由

当社は美浜3号、高浜1号、2号の再稼働を計画しているが、この3基に
ついては運転開始から40年以上経過しており、再稼働させるべきではない。
これらの原発は半世紀近くも前の設計技術を基礎としており、安全対策でも
最新の技術より劣っている。また、40年に亘って放射線を浴び続けている
圧力容器やその他の機器は劣化している。加えて新規制基準では機器をつな
ぐケーブルは、難燃性でなければいけないとされているが、防火シートで覆
うことで良しとしている箇所がある。もし災害時に防火シートが破損すれば、
ケーブルに引火して延焼する。更に、この3基が稼働すると、電力供給が過
剰になり、原子力による発電が優先され、再生可能エネルギーによる発電へ
の出力抑制が行われる恐れがある。運転開始40年を超える原発廃炉にし、
老朽原発の安全対策のための資金は、再生可能エネルギーの促進のために振
り替えるべきである。