関西電力 第100回(2024年)株主総会 株主提案議案に賛同してください

関西電力 第100回(2024年)株主総会 株主提案議案に賛同してください

 

株主提案議案

 

第1号議案 剰余金処分案

  • 提案の内容 

 当期末における配当を0円とし、会社側提案の配当はすべて能登復興支援のために支出する。

  • 提案の理由 

本年正月に発生した能登地震。当社はその震源の近くに原発を建てようとしていた。今回の震災では、地震の揺れのみならず、津波、地盤隆起、流動化など様々な形の災害が起きた。また道路の崩壊などで孤立した集落がいくつもあった。もし珠洲原発福島原発事故のような過酷事故を起こし、放射能が降り注いでいたらどうなっていただろう。避難どころか、被災者の救出さえままならなかったことが予想される。

珠洲原発に反対してくれた人たちのおかげで、当社は当期「最高益」を挙げることができた。

東京電力(東電)は福島原発事故の後、株の半分以上を国が所有する企業となった。東電の利益は巨額の賠償金と今後も増え続ける事故炉の処理費用のために支払われ続けることになる。東電の株主は配当を40年以上受け取れないし、株価も低迷を続けている。

珠洲原発に反対してくれたみなさんに感謝して、当期の配当をすべて能登復興支援に充てることを提案する。

 

第2号議案 取締役解任(1)

  • 提案の内容 以下の取締役を解任する

取締役 榊原定征

  • 提案の理由

金品不正事件が発覚後法令順守を徹底するため、社外取締役が強い監督権限を持つ「指名委員会等設置会社」に移行し、会長として榊原氏を迎えた。

2020年秋、外部からの通報で電力カルテルの恐れが指摘され、社内調査の結果10月に公正取引委員会へ課徴金減免申請をした。当時の森本副社長、彌園副社長らによるカルテルへの関与が明らかになった後も主導した両名の続投を認めた。

2022年の株主総会で森本社長の退任理由は「経営の若返り」とされ、カルテル問題には触れなかった。記者会見で榊原氏は森本氏を「コンプライアンスに取り組み、信頼回復に全力を尽くした」と評価した。

執行役員を監督すべき社外取締役として、取締役会を無視し執行役員の独断で進めたカルテルには厳しい対応が必要だった。不正の再発を防ぐには責任の所在を明らかにし厳正に処分すべきだ。法令順守を掲げるなら、執行役員の独断が判明した時点で毅然とした対応が必要だった。

 

第3号議案 取締役解任(2)

  • 提案の内容 以下の取締役を解任する

取締役 森望

  • 提案の理由

当社は、福井県内の美浜、高浜、大飯の3原発の敷地内に使用済核燃料の乾式貯蔵施設を作る手続きを進めている。乾式貯蔵に移すことにより空いたプールには使用済核燃料を追加せず、全体の貯蔵容量は増やさないと説明しているが、それが本当なら3原発は3年から4年程度で貯蔵が満杯になり原発は停止せざるを得ない。

乾式貯蔵施設は満杯になる前に完成できるよう建屋を作らない簡易方式が採用されており、貯蔵容量を増やすことが目的であることは明らかだ。これは、福井県外に中間貯蔵施設を作って搬出するとしてきた、これまでの福井県との約束を破り、方針を180度転換するものになる。「全体の貯蔵容量は増やさない」などとウソの説明を繰り返し、福井県民を愚弄している責任は大きく、社長は解任に値する。

「全体の貯蔵容量は増やさない」がウソでないというのなら、今株主総会で満杯停止を回避するためにどうするのか明言してみればいい。

 

第4号議案 取締役解任(3)

  • 提案の内容 以下の取締役を解任する

取締役 田中素子

  • 提案の理由 

当社は金品授受問題の露見以降も、トップ主導のカルテルや個人情報の脱法閲覧に対しても業務改善命令を受けた。当社はその都度、刷新本部設置、規定の整備、委員会新設、研修の実施などの対応を重ね、経営層を刷新してきたが、企業体質に変化は見られない。

株主からカルテル問題に関与した現旧役員に対し、責任追及の訴えを求められても、関係役員の報酬カットのみの処分で、2023年7月28日、会社としては提訴しないことを決定した。カルテルで与えた損害に対し、当社の問題の受け止めはこんなにも軽い。8月10日に提出された電気事業法にかかる業務改善計画も、これまでの対応の上塗りを更に重ねたにすぎない。検察OBを役員に据え、検察の訴追をかわす脱法指南と検察の忖度を期待する経営はもう終わりにするべきだ。

当社が変わるためには検察OBとの関係を断つ事を社内外に示すしかない。検察OBの取締役解任を提案する。

 

第5号議案 定款一部変更の件(1) 

▼提案の内容

 当社の定款に以下の章を新設する。

第○章 社外取締役、執行役の報酬個別開示等

社外取締役、執行役の報酬を個別開示する。執行役の業績を個別開示する)

 第○条 社外取締役、執行役の報酬を個別開示する

 第○条 執行役の業績を個別に開示する

▼提案の理由

不正続きの当社は2020年、ガバナンス体制の構築に向け指名委員会等設置会社に移行した。社外取締役が経営を監督することで、コンプライアンスの強化を図ったはずだが、顧客情報不正閲覧、資格の不正取得、独禁法違反の調査は続いた。

当社は経産省から業務改善命令を3回受け、5月に不正閲覧に対し、8月にカルテルに対し業務改善計画を提出した。計画の内容は、どちらも「二度とこのような事態を起こさないよう」「コンプライアンス意識の定着」「社員との対話」「内部通報の強化」が揚げられている。これらの文言は2004年の美浜3号機の二次系細管破断事故から繰り返し使われてきた。未だに達成されていない証拠である。他電力からは「また関電さん」の声も聞こえた。

カルテルを取締役会に諮らず執行役員だけで決めたことを見ても体質は変わっていないのが明らかだ。責任を持って役職を果たすよう、社外取締役と執行役の報酬個別開示を求める。

 

第6号議案 定款の一部変更の件(2)

▼提案の内容

 当社の定款に以下の章を新設する。

第○章 脱原発ゼロカーボン

原子力発電に頼らずに、ゼロカーボンを実現する)

第○条 当社は原子力発電を稼働せずにゼロカーボンを実現する。

 

▼提案の理由

能登半島地震により当社の石川県珠洲原発予定地だった海岸では数メートルの隆起が起き、建設予定地だった高屋町は、ほぼすべての家が被害を受け、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。珠洲原発の建設を阻止した地元の市民運動により当社は多大な損失を被らず救われた。当社は7基もの原発福井県で抱えている。能登半島地震は最後の警告だ。地震の揺れや地盤の隆起などが、いつ福井県を襲うか分からない。直ちに取締役は国に要請し、速やかに廃炉を可能にする仕組みを構築し、廃炉へと進む経営判断を行うべきである。「再稼働の投資をしてしまった」は理由にならない。IAE(国際エネルギー機関)などの分析でも、原発ランニングコストは年々上昇している。原発は経済的に不利に、再生可能エネルギーは有利にトレンドが進んでいる。取締役は株主に多大な損失が発生しない経営プランを作成し、早急に美浜、大飯、高浜原発廃炉へと進むべきだ。

 

第7号議案 定款の一部変更の件(3)

▼提案の内容

 当社の定款に以下の章を新設する。

第○章 再処理を禁止する

プルトニウムを取り出し、危険でコストもかかる再処理は行わない)

第○条 当社はプルトニウムを取り出し、危険でコストもかかる再処理は行わない。

▼提案の理由

六ヶ所再処理工場は1993年に着工、当初は1997年完成予定だったが、30年以上経過した今も完成せず、27回目の完工延期となるのは必至だ。その間に総事業費は14兆7千億円にまでふくらんだ。

燃料プールには全国から集められた使用済核燃料がすでに満杯になってきている。ガラス固化はうまく進まず、危険な高レベル廃液が約244m貯蔵されている。

変動地形学の専門家は、下北半島の東方海域には、長大な大陸棚外縁断層があり、その分岐した断層のひとつが六ヶ所再処理工場の直下へ連続していると指摘している。六ヶ所再処理工場は最大700ガルに耐えられるよう設計されているが、この大陸棚外縁断層と直下の活断層が連動すると2000ガルの揺れが予想されている。

日本はプルトニウムをすでに45t以上持っている。余剰のプルトニウムを持たないという国際公約を果たすためにも、安全性、経済性、必要性のない再処理は即刻止めるべきだ。

 

第8号議案  定款一部変更の件 (4)

▼提案の内容

当社の定款に以下の章を新設する。

  • 原発事故時の避難計画の実効性が担保されない限り原発は運転しない。

(避難計画の実効性が担保されない限り原発を運転しない)

第〇条 当社と立地自治体とで原発事故を想定した避難訓練を、降雪期、夜間を含めて最低1年に3回実施すること。費用は当社が負担する。

第〇条 避難訓練の結果を検証し、速やかに避難計画を改善すること。

第〇条 立地自治体と、避難者受け入れ自治体と当社の三者が常時緊密に連絡を取り合い、避難時に必要な車両、施設、人員、医療体制などについて情報を共有しておくこと。

第〇条 大規模な自然災害が発生したときは、立地自治体及び近隣自治体に原発の被災情報を迅速に提供すること。

▼提案の理由

今年元旦の能登地震は、改めて地震の恐ろしさ、避難の難しさを突きつけた。かつて当社がこの地に原発を建てようとした時、苦しい思いをしながら反対運動に身を捧げ、原発を退けた現地の方々には感謝しかない。もし原発珠洲にあったらどれほど大きな災いとなっていただろう。

原発の安全確保は「深層防護」が基本だが、福島原発事故でその破綻が明らかになった。大事故が起きれば、正確なデータをもとに迅速に避難しなければならないが、今の避難計画は文字通り「机上の空論」で、現実的ではない。地震大国の我が国で「大地動乱の時代」と地震学者が警告するこの時期に、実効性のある避難計画なしに老朽原発を運転するのは愚かで危険なことだ。自然災害は激しさを増し、時を選んでくれない。減災の工夫はできても、大地震原発事故が同時に起きれば、防災対策はまったく無力だ。一番の防災は原発事故の前に運転を停止することだというのは自明の理である。

 

第9号議案  定款一部変更の件 (5)

▼提案の内容

当社の定款に以下の章を新設する。

第○章 電気事業業界団体の改革

カルテルの一要因ともされた電気事業連合会を解散し、新たに電気事業の開かれた業界団体をつくる)

第○条 電力の地域独占のもとで設立された旧弊の組織、電気事業連合会を解散し、新しい電気事業の業界団体を設立する。

第○条  新たに設立する業界団体の設立目的は自然エネルギーを中心に、脱原発、脱炭素をすすめる電力システム構築を進めるためとする。

第○条 新たに設立する業界団体は電気事業に関わるすべての企業に開放する。

第○条 新たに設立する業界団体は透明性を確保し、毎年、財務情報をホームページで公開する。

▼提案の理由

地域独占下で設立された電気事業連合会電事連・1952年設立)は、電力自由化された今日、旧弊の組織となっている。電力自由化は市場全体を活性化させ、消費者の利益に繋げ、電力産業全体の成長を目指すものであった。ところが、地域独占下で温存された電事連は、電力の成長産業化を阻害する方向に働いている。一昨年の独占禁止法違反カルテル事案はそのことを象徴的に示している。脱炭素社会が至上命題とされ、自然エネルギーの重要性が高まっている今日、それに向けていかに事業システムを作っていくかが、業界全体の課題である。ところが電事連加盟各社は、原子力発電を偏重し、太陽光発電を遮断する出力制御を頻発させて、自然エネルギーによる発電・電力システム構築を阻害している。カルテルを呼びかけた当社こそが、率先して、脱原発、脱炭素の新たな電力システム構築に向けて、すべての電気事業者と共に、新しい業界団体を作る責務がある。

 

第10号議案  定款一部変更の件 (6)

▼提案の内容

当社の定款に以下の章を新設する。

第○章 原子力損害賠償制度改革委員会の設置

(十分な事故賠償ができる制度が施行するまで原発を稼働しない)

第○条 当社は不備のある現行の損害賠償制度を改革することを目的として、原子力損害賠償制度改革委員会を設置する。

第○条 当社は過酷事故が起きた時に十分な事故賠償ができる制度が施行するまで原発を稼働しない。

▼提案の理由

 当社は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(支援機構)を通じて、東電の原発事故に対する損害賠償の一部を負担している。その負担金は、日々の電気料金に付加して、需要者に負担させている。しかし、東電の事故は当社の責任ではないから、東電の賠償金を当社の需要者に転嫁して負担させる謂れはない。

福島原発事故後40年にわたり、当社など他の電力会社から回収される負担金はすべて福島事故賠償のために使われる。もし当社の原発が過酷事故を起こし、支援機構が資金援助をしてくれたとしても、負担金の期間40年がもっと長くなるだけだ。

不十分な原子力損害賠償制度に頼るのは、安全な運転に対するモラルハザードを引き起こす懸念がある。東電にはすでにモラルハザードを疑われる事象も散見されている。

現行制度は不十分で見直しが必要だと、国の有識者会議でも指摘されている。十分な事故賠償ができる制度が施行するまで原発を稼働しないことを求める。