第92回関電株主総会2016年6月28日
総会の経過と抗議文
<近年で最短の株主総会>
議事は例年のように会社側の説明、事前質問への回答、質疑応答と議事は進んでいきますが、今年は前面の画面に、発言者が何分発言したのかわかるようにタイマーが表示されました。そして質問者として指名されたのは14名、その中には大阪市、京都市、神戸市からの発言もありました。3分を越えると議長が注意します。筆頭株主の大阪市、京都市に対しても同じ態度でした。質問に対しては抽象的に回答するか、答えない。にもかかわらず再質問も認めず、発言時間だけ規制するという、例年以上に高圧的な議事運営でした。
私たちは今年の株主提案で、福島から避難されているかた、そしてグリーンピースジャパンからも議案説明をしていただきました。
<「今だけ 金だけ 自分だけ」>
大阪市の代理人河合弁護士が関電を批判して語った言葉です。「とりあえず再稼働させて、す。昨年、関西電力は株主から「裁判の結果に左右されるような経営は経営者として失格だ」と批判されていました。その言葉通り、昨年は福井地裁で、そして本年は大津地裁で、高浜原発3・4号の運転は認められませんでした。株主総会での警告どおりになっているのです。
<理由なき判決!と関電が裁判所を批判>
関電は株主総会で裁判所を批判ました。大津地裁の高浜3・4号の運転停止の仮処分について勝田取締役は「原発の安全性についての主張を、理由なく無視された」答弁しました。「理由なき」とはなんという裁判所に対する侮辱でしょう。大津地裁の考えは、福島原発の事故を経てきた国民の考えをくみ取ったものになっています。関電にとって仮処分決定の理由は「いちゃもん」とうつっているのでしょうか。総会でこの答弁を聞いたとき、傲慢さに唖然としました。
「関電は脱原発へ向かってほしい」と願うのは、自然の流れです。それにも関わらず、八木社長は相変わらず「国の方針」「エネルギーベストミックス」などと従来と変わらない言葉を並べます。福島事故を受けて多くの自治体、そして住民の意識は変わったのに、変わらないのは関電という印象を強く受けました。大阪市長、京都市長、神戸市長。株主でもあり自治体の長の意見さえ聞こうとしない関電は傲慢そのものだといえます。
<議事運営>]
脱原発を主張する人たちに会場から「ゴキブリ」などと汚い言葉で意見を言う人いました。そういう発言に対して議長は何のアクションもとらず、「貴重なご意見ありがとうございました」と議事を進めようとしたので、議長解任の動議が出されました。否決されましたが、ひどい議事運営でした。
<取締役の不思議>
原子力の質問に対して昨年までほぼ豊松取締役が回答していたのに、今年は回答者が分散していました。もうひとつの不思議は次期社長の岩根取締役がほとんど発言しなかったことです。八木社長が会長になり、森会長が相談役になり、人事を見る限り、院政のような感じです。これから何が始まるのか、注意深く見たいと思います。
関電は原発の安全対策について大変資金が必要になります。報道されているだけで原発の安全対策費は7297億円(毎日新聞6月)訴訟リスクも抱え関電が苦境に陥るのは必至です。一方、株主総会では経営の効率化を進めるといっています。福島原発事故では安全対策が効率化の名のもとにおろそかにされてきました。津波対策を先送りにしてきた結果重大事故につながったのです。
効率化のもとで安全対策がおろそかされてきたのは今までの事故に共通しています。経営者が効率化を言い出すと、社内で委縮、隠蔽が発生するのは多々あることです。いまの関電に原発を運転させることはとても危険です。
<会場前アピール>
毎年8時30分ごろから幕を広げアピールをします。今年も多数の個人や団体が駆けつけました。東京からはグリーンピースが「原発ギャンブル」のさいころを転がしました。駅前では「脱原発南京たますだれ」もされていました。「脱原発六甲おろし」もありました。各団体、順番にマイクを使いアピールをしました。マイクを使っていても関電の社員は昨年のように盾で威圧するようなことはありませんでした。そのかわり私服警官が異様に多いように思いました。
関西電力社長岩根茂樹様
2016年7月5日
脱原発へ!関電株主行動の会
第92回定時株主総会にかかる抗議及び申入れ
6月28日行われた当社第92回定時株主総会において納得がいかないことがいくつかありました。ここに抗議し、今後このようなことのないよう申し入れます。
また、事前質問を出していたのにご回答なかったものについて再度の質問と、新たな質問をします。
申し入れ
1. 高浜3.4機の大津裁判所決定について「理由なく無視した」と勝田取締役が述べられました。これに対して翌日岩根社長は記者会見で、「地裁の判断は科学的、専門的な
知見に基づくことなく、抽象的かつ主観的に高浜原発の安全性に対する不安を羅列され
ている」と述べています。決定に対して非科学的、非専門的、主観的判断との発言は裁
判所を否定するもので、速やかに発言を撤回すべきです。
止め訴訟が起きるでしょう。「理由なく無視」などと司法の姿勢を批判しているようで
は、今後も法廷で敗北する可能性がとても高いと思います。自分たちの姿勢がまさに自
分たちを窮地に陥らせていることを認識してください。脱原発へ舵をきることが、関電
生き残りのために唯一の手段です。
2. 総会の会場からの意見、質問の際、一人の株主が「きちがい、ゴキブリ、ウジ虫、反原発」と暴言を吐きました。これに対して森議長は「貴重なご意見ありがとうございました」と言いました。卑怯で差別的な発言に謝罪を求めることも注意することもし
ませんでした。これは森会長の個人の資質が貧しいのか、それとも関西電力の体質なの
か、社会的に許される態度とは思えません。厳重に抗議します。
この発言は 特定人等を相当程度侮蔑し又は誹謗中傷するものであることから
照らして、この発言者の氏名、所属団体の名称を公開すべきです。
3. 総会出席者の議決権を保障することを求めます。当日の参加者のひとりひとりの
賛否をちゃんと数えて、議決権行使結果に反映してください。
事前質問再提出
1.当社には何十年も前から地域の公園として大阪市に無償貸与している土地があるが、その土地の返還を求めているという。公園は地域の人々にとってかけがえのない空間になっているし、更地にして当社に返還するには700万円もかかり自治会の人は困っているとのことです。
① 当社所有で公園になっている土地は何カ所ありますか。
② 返還を求めているのは何カ所ですか。(府県別に)
③ 地域の人が困っている状況に対してどう思いますか。
2.当社から離脱した電力契約数は何件か。一般電気契約者、大口契約者それぞれお答えください。
② 北陸電力にこの5年間に支払った購入電力料はいくらですか。
7.当社は総括原価方式で利益を保証されています。その保証された利益の納税を回避してタックスヘイブンの地域への出資をするのはほんとうにおかしい。経営方針として完全に間違っていると思いますが、どうですか。
新たな質問
2.敦賀3.4号について日本原電と基本契約を結んでいる。内容を明らかにしてください。
3.市民との話し合いについて、話し合いはしたいが時間がないとの答えでした。本当に話し合いの時間を持とうとするなら具体的にどのように時間を作るのか提示すべきです。それとも時間が無いといってポーズだけなのですか。
4.7月5日議決権の結果が発表されました。株主提案は全て否決されたとはいえ、第11号議案・役員の報酬個別開示、 第16号議案・経営や事業に関する情報開示、第4号議案・議事録の正確な記載、と情報公開に対する議案が多くの賛同を得ています。株主は当社の経営の透明性を求めているのです。この結果についての見解をしめしてください。
ご回答は文書で7月30日までにお願いします。