株主総会 事前質問

 事前質問を提出しました。今年こそ関電経営陣は誠実に答えて欲しい。

 

 関西電力 第99回株主総会事前質問
                                              
*フランスでの使用済MOX燃料の再処理について

1)12日、森社長が福井県知事に高浜3、4号からのMOX燃料と使用済み燃料をフランスに運ぶことを伝えたと報道された。もんじゅ廃炉になり、核燃料サイクルは破綻した。フランスの再処理工場でも周辺の放射能汚染が問題になっている。使用済MOX燃料との混焼再処理はウラン燃料のみの再処理より危険で、発生する廃棄物はより厄介なものになる。使用済MOX燃料の再処理は行うべきではないと思うがどうか。

2)高浜原発の使用済核燃料について「毎月26日ランチタイムに関電前に集まる女たちと日本消費者連盟関西グループ」への当社の回答によると
高浜原発の空き容量は3758引く3035で723(単位:体)
高浜原発4基の3分の1炉心は628割る3で209(単位:体)
あと何回の定検で満杯になるか計算すると723割る209で3.45(回)となる。あと4回定検したら、使用済燃料プールが満杯になってしまう。
今回合計で200t、約435体の使用済燃料をフランスに運ぶとの計画だが、仮に高浜原発のものを運び出すとしても、高浜原発2定検分の空き容量を確保できるにすぎない。今回の計画発表で森社長は県知事に「これで約束が果たされた」と主張しているが、「福井県を使用済燃料の置き場にしない」という約束がこれで果たされたとは到底思えないがどうか。

3)フランスの国内法によれば、再処理に伴って発生する廃棄物を日本が引き取る必要がある。
返還廃棄物をどこに貯蔵し、どう処理処分する計画か。

4)今回の200トンの再処理によって抽出されるプルトニウムの量は? その使用見込みは?

*高浜4号の制御棒落下事故について

関西電力株式会社からの高浜発電所4号機 原子炉自動停止に係る報告に対する評価」(原子力規制庁)によれば「電気ケーブルの接触不良は、原子炉格納容器貫通部出口と端子台の間において、 貫通部出口側電気ケーブルに、コイル側電気ケーブルが覆いかぶさっていたことにより、原子炉格納容器貫通部内から引き抜かれる方向に力が働いたためと推定した」、「本事象は、施工時の余長ケーブルが覆いかぶさった状態が継続し、ケーブル接合部に設計上想定していない引張力が作用し続けた結果、発生した事象であり、施工内容に起因したもので、施工時に荷重がかからないように設置すれば発生しない事象であることから、経年劣化事象には該当しない」とある。

5)建設当初からケーブルが覆いかぶさっていたとはいえ、運転開始から40年近い時間がかかって影響が出てきたのだから、これは明らかに「経年劣化事象」ではないか。

6)このような経年劣化はたとえ原子炉が停止中でも進むのではないか。

7)ジャーナリストのまさのあつこさんの質問に当社は「当該貫通部の接続部は、樹脂で覆われていること等から状態を維持したままの分解調査することは容易ではないと考えている」「将来的に当該部分を取外すタイミングで、分解調査ができないか検討」と回答しているという。どんなに難しくても実際に分解調査をし、事故原因を推定ではなく、特定するべきだと思うがどうか。

8)高浜4号は直前に運転開始40年を超える運転を続けるための特別検査に合格していた。その際、当該箇所の不具合に気付かないまま、原子炉のブレーキである制御棒の落下という重大なトラブルを起こした。特別検査は不十分なのではないか。

9)制御棒保持装置の一部の電源を切った同じタイミングで、別の電気ケーブルの接触不良による導通不良が起きたのはなぜか。

*高浜1号の脆性破壊温度について

高浜1号の脆性破壊温度は2009年9月の検査ですでに99度(母材)となっており、全国の老朽原発の中でも一番危険だと言われている。

10)脆性破壊温度が何度になったら、廃炉とするのか。

11)2009年からすでに14年経っているが、次回の検査はいつ行うのか。

12)40年を超える運転を認可する検査の際に、なぜ脆性破壊遷移温度の検査は行われなかったのか。新たな取り出しも行われないまま検査に合格したか。40年をこえる運転認可のための検査とはその程度のものなのか。

13)各原発の炉内に残されている試験片の数を、母材、溶接金属、その他の別に答えられたい。

*高浜3、4号の蒸気発生器交換について

14)交換の費用はいくらかかるか。

15)何年に交換する予定か。交換にかかる期間はどれだけかかるか。

16)交換せずに廃炉にするべきだと思うがどうか。

*出力制御について
6月4日、当社管内で初めての出力制御が行われたと報道された。

17)制御した発電量はどれだけになるか。

18)今回の出力制御は高浜1、2号が稼働していない状況で起きた。高浜1、2号が再稼働すればもっと多くの出力制御を必要とするはずだ。高浜1、2号の再稼働は必要ではないとおもうがどうか。

19)前日の6月3日には、出力制御ではなく、東京電力北陸電力に対して、最大60万kWを送電したという。このように出力制御ではなく他電力管内に電気を送る方法を優先するべきではないか。せっかくの自然エネルギーの電気を捨てるより、たとえただでも他電力に電気をおくったほうが良いとおもうがどうか。

20)出力制御と他電力に余った電気をおくることのそれぞれのメリット、デメリットを具体的に教えてほしい。

株主総会の書類の書面交付について

21)今年はすべての株主に全54ページバージョンの招集通知を送っているとのことだが、来年以降はどうなるのか。

22)当社の株主で書面交付請求をおこなった株主は何人(何%)か。

23)「書面交付を行わず、ネットを利用する」ことを希望する株主には、会社あるいは管理信託銀行あてにメールを送付してアドレスを申請してもらい、その株主には簡素な開催の知らせと議決権行使のハガキだけを送付する。それ以外の株主には従来通りの開催通知をおくるというやり方なら株主の権利を侵害しないとおもうがどうか。

24)従来どおりの総会資料を、ネット利用を希望しないすべての株主に交付することを強く求める。

日本原子力発電株式会社に関する質問

25)2011年以降12年間、実際の購入電力がないのに100億円以上もの金
額を日本現電に支払っている。一般の商取引ではあり得ない。「日本原電が今後
原発の発展に意義がある」という理屈では通用しない。契約を解除すべきだと思うがどうか。

26)少なくとも会計処理上、日本原電の支払いを購入電力の項目に算入すべきで
はない。なぜなら実際の購入電力価格が曖昧になり、株主の判断を狂わせるもの
になるからだ。これに対する当社の見解を求める。

27)関西電力送配電株式会社が日本原電に支払っている金額はあるのか。あるとしたら、その項目は何か。

28)敦賀3・4号予定地に当社と関西電力送配電は、土地賃借契約を結んでいるか。契約があるとすれば、その金額はいくらか。

29)日本原電に出向している役員、社員は何名いるか。

電気事業連合会に関する質問

30)電事連へ分担金など年間にいくら支出しているのか。

31)電事連へ出向している役員、社員は何名いるのか。

32)電事連という組織の会計が全く公開されていない。公益性のある電気事業を
営んでいる組織の会計が公開されないのは社会通念上許されないことだ。カルテ
ル問題の温床になった電事連であるだけに、分担金、電事連の会計の透明化が必
要であると考えるがどうか。

33)電事連の趣旨に従うなら、すべての電力会社(新電力など)が含まれてしかるべきだと思うが、何故1部上場の電力会社だけの構成になっているのか。
今後すべての電力会社と共に運営する意思はあるか。

34)電事連内の「福島復興本部」に国の復興予算からの支出はあるか。
電事連独自の予算で復興支援しているのか。

コンプライアンスについて
  
35)2022年4月にコンプライアンス委員会の報告書が出された。
  同委員会は土「砂処分事案では、吉田開発の推計22億円もの発注単価差額にも、決定プロセス・発注金額にも合理性はない。土地賃借事案では森山氏からの利益供与要求に基づく賃借で、賃借決定プロセスにも金額自体の合理性にも疑義がある。市会議員倉庫事案でも決定プロセスに合理性はなく不相当に高額な賃料設定である」とコンプライアンス違反の数々を列挙してる。当社はコンプライアンスポリシーに「合理性のない特命発注を行わない。役員は率先して問題解決、再発防止等に努める」と宣言している。担当役員および取締役会はそれぞれ、この報告をどのように受け止め、対応したのか具体的に回答願いたい。
  
36)当社は2019年の金品授受問題の発覚後、役員・従業員にそれぞれコンプライアンス研修を徹底した。役員は、コンプライアンス上問題となる事象を認識した場合、コンプライアンス委員会の社外委員および取締役会議長に報告する義務がある。子会社が持つ顧客情報の不正閲覧、身代わり受検をいつ報告したのか。その結果どう対応したのか。

37)2022年4月から12月までに子会社情報システムへの不正閲覧が40,806件あり1,013人が関与、4割の社員は不正を認識してのアクセス。経産省の管理する情報システムに送配電の社員からIDとPWを入手し、再生可能エネルギー業者の情報を不正に得ていた。
金品授受問題発覚後、徹底して行ったコンプライアンス教育の成果がこれなのか。これでは当社社員に「うまい脱法方法を考えて仕事しなさい」という教育ではないか。
経営トップから一般社員までが不正を認識しつつ違反を繰り返している。屋上屋を重ねるだけの再発防止策ではないのか。不正をしたあるいは見逃した役員に対し解任ではなく、ただの退任でお茶を濁すことは許されない。見解を伺いたい。

38)顧客情報不正閲覧は、送配電子会社が管理する顧客情報を親会社から遮断するよう定めた法に違反し、電力自由化の大原則も蔑ろにしている。電力の地産地消電力市場の健全な育成のためには送配電会社の所有権分離が不可欠と考えるが、どうか。

39)2023.3.30公正取引委員会により独禁法違反行為として排除措置命令が行われた。
2021年1月のスポット価格高騰は電力会社による「卸売市場への電気の供給量の絞り込み」により卸電力市場の価格操作に対してだ。これは新電力潰しであるとともに、電力市場の信頼性を損ねるものだ。このような価格操作を防ぐためには送配電会社の所有権分離が必要だと考えるが、どうか。

40)公正取引委員会は、卸売市場への電気の供給量の絞り込みを行って市場価格を引き上げることなどにより、新電力の競争力を低下させることを企図していた者がいたことなどを、電力・ガス取引監視等委員会に情報提供している。当社に指摘されている不正はあったのか。

41)MOX燃料の再処理は2030年代後半に向けた実証実験中はフランスに使用済み核燃料を送ることは、懸案の中間貯蔵先と同等と福井県に説明した。実際は2030年代後半に成果を期待する実証実験のために供与するもので、その目的は明らかに違う。目的のすり替えはコンプライアンス上問題とならないか。

42)当社は、2015年に電気料金を値上げした際に、経産省からさらなる経営効率化を指示され、競争発注比率を当時の15%から30%超にすると約している。昨年度、競争発注比率は何%か。当時も比率を公表しており、今後の調達に差し支えるなどとして回答しないことは理由として成り立たないことを申し添える。

43)昨年当社は北陸電力との間で交わした契約が終了したと発表した。今年度はどうか。動いていない原発の電気を購入する契約を結んでいるか。関電送配電はどうか。

44)昨年8月、当社元役員の金品受領の件で米法人など82者から大阪地裁に239億円の損害賠償の提訴があった。この裁判の進行状況を教えて欲しい。この裁判に掛かる弁護士費用はいくらか。

45)40年超えの老朽原発、美浜3号、高浜1.2号を再稼働させるために掛けた費用はいくらだったか。サイトごとに回答を求める。

46)特別顧問 森本孝氏の報酬はいくらか。