株主提案を目指して   2021年 第97回 関西電力株主総会 

合意書をお願いします。

下記の案で今年も株主提案を目指します。

株主代表訴訟も始まりました。

小さい力でも長く続けていることで、脱原発の力になれば、という思いです。

 

2021年 第97回 関西電力株主総会 株主提案議案

第1号議案 剰余金処分案

  • 提案の内容 

 当期末における剰余金の配当について、会社側提案より1株あたり1円多くする。

  • 提案の理由 

 当社取締役の業績連動報酬と株式報酬をやめること、そして過去の業績連動報酬と株式報酬を全て返還し、株主の配当に回すことを提案する。

当社は、取締役報酬の隠れ補填をしている間に、業績連動報酬制度や株式報酬制度を新しく作った。高浜元助役からの不正マネーの受領が発覚して、隠れ報酬補填も明らかになり、会社に多額の損失を与えた昨年も、取締役はこれらの報酬をもらっていた。

以前、取締役の賞与は、剰余金処分案として会社から提示され、株主総会の決議をもって決められていた。福島原発事故後、赤字決算が続いた時には当然取締役賞与はなかった。2度の大幅な電気代の値上げでようやく黒字決算になった翌年の2017年、業績連動報酬制度を作り、2018年には株式報酬を作った。その裏で2016年から取締役報酬を隠れて補填をしていた。多額の不正マネーを受け取る一方、自分たちの報酬を増やすことを進めてきた。到底許されることではない。

 

第2号議案 取締役解任の件

▼提案の内容

以下の取締役を解任する

取締役 森本 孝

▼提案の理由

当社は「2020年末までに福井県外に使用済燃料中間貯蔵施設立地候補地を公表する」という福井県との約束を果たせなかった。2018年末までとの約束を延長したにもかかわらずである。1998年には「2000年までに候補地を決定する」と約して、燃料プール増強の同意を得た過去もある。

森本社長は、1月29日に「現時点では未定」としながら、2月12日には福井県知事に対し「2023年末を最終期限として確定させる」と表明。むつ市の施設を電力各社で共同利用する案を選択肢の一つとして提示した。これは2017年岩根社長(当時)が「当該地元の関係者と協議し、了解をもらった上で公表する」としたことに反する。むつ市は「共用化が選択肢となることはあり得ない」と反発している。

森本社長は、実現不能の案を提示し、「決められない場合は3原発を止める」と言明。度重なる約束違反で、当社の利益を大きく損なった。森本社長の解任を求める。

 

第3号議案 定款一部変更の件

▼提案の内容 

 当社の定款に以下の章を新設する。

第○章 報酬の個別開示と業務内容の検証

 第○条 取締役、指名委員、報酬委員,監査委員、執行役員の報酬を個別開示する。開示の方法は株主総会招集通知、又はコーポレートガバナンス報告書にて掲載する。

▼提案の理由

 当社は昨年から指名委員会等設置会社へと移行した。指名委員会は取締役の選任解任を検討し、報酬委員会は取締役や執行役の報酬を決定する。監査委員会は取締役や執行役の監査を行う。それぞれが独立し取締役と執行役の業務遂行を監査するシステムだが、それらの委員を選任するのは取締役会である。つまり取締役を評価する者を取締役自らが選ぶ、しかも社外取締役が三つの委員会のいずれかの委員に選任されている。これではお手盛りを防げないし、会社の透明性が保たれない。

  当社幹部はこれまで長年に渡り高浜町元助役らから金品を受け取っていた。問題発覚まで株主総会で何事もなかったような対応をしていた。原発立地の地元の一部の者が懐を肥やし、幹部がバックマージンを受け取る不正マネーサイクルを断ち切らなければならない。そのために会社方針を決定する取締役、業務を執行する執行役員、それらを監査する三つの委員会委員の報酬個別開示を求める。

 

第4号議案 定款一部変更の件

  • 提案の内容

当社の定款に以下の条文を新設する。

第 章 再処理禁止

当社は危険でコストも高い再処理をしない。

 

  • 提案の理由

青森県六ケ所村の再処理工場は、1993年に着工し、1997年完工予定だったが、24回目の延期で2022年に延びた。当初の建設費7800億円は3倍の2兆2200億円となり、総事業費は14兆円になった。

日本原燃の増田社長は、2019年2月、原子力規制委員会との意見交換で、保安規定違反のトラブルが続いたことについて「当社社員が現場の作業の目的を理解して、作業を管理できるようにする」と発言。

多くの機器について「「機器がどこにあるかも分かっていない、点検がきちんとできていない、把握もできていない(中略)今は機器の全数を押さえることはできるようになった」と認めた。

長期間停止のリスクについては「運転経験者が減少した。(中略)腐食、閉塞、沈殿だとか、起動時の不具合が発生する可能性がある」とした。

こんな日本原燃に再処理工場を動かす資格はない。核燃料サイクル計画は破綻している。再処理からの撤退を提案する。

 

第5号議案 定款一部変更の件

▼提案の内容

当社の定款に以下の条文を新設する。

第 章 原発事故時避難計画実効性検証委員会

第 条 原発事故の際、住民の安全な避難が本当に可能なのかを客観的に検証することを目的とした原発事故時避難計画実効性検証委員会を設置する。委員は立地自治体及び隣接自治体の住民、当社や原発利権と利害関係のない有識者などで構成する。この検証委員会の了承がなければ、原発を稼働しない。

 

▼提案の理由

新規制基準への適合と、避難計画の策定は原発稼働を可能にする2本柱だ。原発事故時の避難計画には、原発立地自治体の住民の60%以上がその実効性に疑問との報道もある。現在の避難計画の課題を挙げる。

① PAZ(原発から5km圏内)で避難指示が出るのは全面緊急事態になってから。UPZ(30km圏内)では放射線レベルが上がってから。

② 避難経路が大雪や土砂災害などで通行不能になる可能性大。

③ 避難時の車の渋滞、道路や設備状況の悪化などで長時間放射線に曝される可能性大。

④ 避難時の集合場所や中継所での放射線防護の難しさ。スクリ―ニング用の建屋や水の確保、汚染水の排水処理に課題。

⑤ バス避難想定だが、運転手の確保が困難。

⑥  災害弱者と呼ばれる避難行動の困難な住民への配慮。

⑦ コロナ禍での、3密を避けての受け入れ。など

立地及び隣接地住民代表も含めた避難計画実効性検証委員会を立ち上げるべきだ。

 

第6号議案 定款一部変更の件

 

▼提案の内容

当社の定款に以下の条文を新設する。

第 章 取締役会決定検証委員会

 第 条 2019年に発覚した「金品受領」問題を受けて、取締役会の決定について、その妥当性を検証、評価する第三者機関を設置する。

1 2010年から2019年にかけて「金品受領」問題を起こした当事者が出席していた取締役会の決定が妥当であったかどうかを検証する。

2 「金品受領」問題をきっかけに発覚した高浜原子力発電所立地に関わる土地取引など、不正が疑われる過去の取引について調査検証する。

3 運転開始から40年を超えた原発の運転決定、日本原子力発電北陸電力との買電契約、日本原燃との出資契約など、これまで取締役会が承認してきた案件について妥当性を検証する。

 

 ▼提案の理由

運転開始から40年を越える原発には、日本原電を除く他社電力会社は安全対策工事への対応、費用対効果などを考え、廃炉を決断した。我が社も大飯1.2号、 美浜1.2号を廃炉にすることを決定したが、高浜1.2号、美浜3号は再稼働申請を決定した。これらを決定した取締役会には「金品受領問題」で我が社が提訴している役員が含まれる。40年を越える原発の運転申請を決定した過程で、取締役会において、費用対効果、安全上の問題、訴訟リスクを含め十分な検討がおこなわれたのか大きな疑念がある。また、我が社は日本原電へ、電力供給をうけないまま電力料金として年間約200億円の支出をしている。対価のない支払いを10年間継続していることになる。総額は原発廃炉費用を超える金額となっている。これらの問題について「金品受領」をしていた役員が影響していないのか、不正が疑われる過去の取引問題など、第三者委員会を設置し検証する必要がある。

 

第7号議案 定款一部変更の件

▼提案の内容  当社の定款に以下の章を新設する。

第  章 脱原発ゼロカーボン推進委員会 

第  条 当社は原子力発電に頼ることなく、2050年ゼロカーボンの目標を達成するため、脱原発ゼロカーボン推進委員会を設置する。

 

▼提案の理由

関西電力の経営陣が原発を維持することに執着しているため、会社は多くの難問難題を抱え、結果、株主にとって非常に不利な状況にある。原発不正マネースキャンダル、大飯、高浜、美浜発電所に対する数多くの訴訟、期限切れによる原発停止、老朽原発の維持による多額の投資等、問題は山積し、ますます悪化する傾向にある。どこかの原発でトラブルがあれば、他号機も止めざるを得ない原発は、「出力安定」には程遠い。2月26日に策定・公表された「ゼロカーボンビジョン2050」は、原発を維持することで目標達成を困難にしている。このまま原発依存の経営方針を続けるなら、ゼロカーボンも原発稼働のための手段になってしまう。真のゼロカーボンを実現するためには時代遅れの体制と決別し、原発依存という後向きな経営から脱却し、徹底的に改革を進める必要がある。株主に対して、会社の将来を切り開く覚悟を真剣に表明してほしい。