2013年株主議案(案)

関西電力への株主提案議案(案)です。

ご賛同いただける株主のみなさまはご連絡ください。

第89回 関西電力株主総会 株主提案議(案)


第1号議案 剰余金の処分案の件
     提案の内容
 ウランなどの核燃料をできるだけ早急に売却し、赤字の補填にあてる。
     提案の理由
 「日本原子力発電がウランを売却」と報道された。当社にも原発の稼働が進まず、使うあてのない核燃料がたくさんある。値上げ申請時の数字では、核燃料資産が5152億円となっている。プルトニウムや使用済核燃料、六ヶ所村の再処理工場への前払金などもこの中に含まれているので、すべての売却が可能ではないだろう。しかし売却できるものは売却して赤字の補填にあてるべきだ。2011年度末の加工中核燃料は1096億円、完成核燃料が800億円、半製品核燃料が584億円で合計2480億円。たとえ半分でも売却できればウラン価格は高騰しているようなので売却益を出すことができるはずだ。
 また関電は今年フランスからMOX燃料を輸送する。今の状況でプルサーマル発電など論外だ。MOX燃料こそまっさきに売却すべきである。原発そして核燃料サイクルをかたくなに押し進めようとする当社の経営方針こそが巨額の赤字を招いている。
 
第2号議案  取締役解任の件
   提案の内容
以下の取締役を解任する。
        取締役   八木 誠
     提案の理由
1、東日本大震災による福島原発の大事故が今なお継続し更なる被害を拡大する中で、活断層の疑いの強い地盤に立つ極めて危険な大飯原発を再稼動させ広範な地域を危険にさらしていること。
2、昨年の株主総会筆頭株主大阪市を始めとする自治体や団体から「脱原発」への議案が多数提案され、多くの株主も賛同したが、全て無視し「原発依存」の姿勢を改めないこと。
3、上記の結果、市場から見放され株価の暴落を招き、中間配当の中止にまで至る事態となったこと。株主に対する責任は重大である。
4、経営環境の悪化を従業員・下請け労働者の労働強化でしのぎ、不必要に多い役員が不当に高い報酬を受け取っていること。
52000年に決定、2010年に完成予定のはずの『中間貯蔵施設』について何も明らかにされていないこと。
6、毎年の株主総会での指摘を無視し、多くの社員を地方議員として活動させ公益企業の信頼を大きく損なっていること。
 
第3号議案 定款一部変更の件
▼ 提案の内容
「第1章総則」第2条第1項に以下の項目を付記する。
1 電気事業
 当事業においては安全確保を第一とする。
 提案の理由
 福島原発事故の原因も明らかにならないうちに、新安全基準も定まらない中、政治判断で当社大飯原発3・4号だけが再稼動されている。
 「私の責任で」と決断した首相も、閣僚も既にその職になく耐震安全性の保証がないまま運転が続いている。新たな調査により、敷地内に「活断層ではないことが否定できない」つまり活断層の存在が明らかになった。専門家の意見が分かれても、「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」により安全側に判断することになっている。近傍の3つの活断層の連動の可能性についても過小評価は許されない。また、原子力規制委員会原子力災害対策指針を2月に決定したが、周辺自治体の地域防災計画の策定が非常に困難な状況で進んでいない。そのような状況下で大飯原発3・4号炉のみが稼動していいはずはない。直ちに停止するべきだ。
 
第4号議案 定款一部変更の件
▼ 提案の内容
「第1章総則」第2条第1項に以下の項目を付記する。
1 電気事業
 原子力発電事業において被ばくは避けられないという本質に真摯に向き合い、原子力発電所の運転にあたっては微量の放射性物質も漏らさないこと。
また保全にあたる労働者を被ばくさせてはならない。
 提案の理由
 2011年3月11日の原発震災は、原発施設破壊にとどまらず、放射能が広大な地域を汚染し、放射能の風や雨雪が及ぶ地域のすべての人々を襲い、被害を与えている。ひとの生命よりもはるかに寿命が長い放射能は土や水や山や空気、自然の中にとどまり、人々を今も襲う。故郷をこわされ、農業や水産業も、家庭もこわされ、原発の本質はひとを不幸にさせるものだったと知らされた。
 身体に害を与え、飲食で体内にも取り込まれ放射線を出し続ける。事故後2年ですでに子どもたちに異常が現れている。また今後いつ発病するかの不安や恐怖が多くの人々を苦しめる。1986年のチェルノブイリ事故では、その10年後日本人の乳癌死者が増加したことを肥田舜太郎医師が調査で明らかにした。
 原発の稼働そのものが、被ばくしながらの点検・修理を下請け作業員に強要している。「計画被ばく」と当社も被曝を承知の上だ。
 原発の本質に向き合うことが3.11の教訓だ。
 
第5号議案 定款の一部変更の件(○)
  提案の内容
第 章 報酬の個別開示
 第 条 報酬の個別開示
1 取締役は報酬、賞与を個別に開示する
  特別顧問、顧問、相談役は氏名を公表すると共に、報酬を個別に開示する
  提案の理由
 当社は赤字を理由に電気料金を値上げした。そもそも赤字に陥ったのは、発電比率50%以上を原発に依存してきた経営の失態に他ならない。特に原子力を推進してきた役員の責任は大きく、報酬を個別開示して株主の信任を仰ぐことは当然だ。また顧問の存在はこれまで闇の中だったが、今年度1414000万円の報酬であることを明らかにした。一人平均1000万円は一般社員の平均よりも高額で、しかも社用車、秘書、執務室がある顧問もいるという。当社は顧問について「経営全般や特定分野について専門的立場から発言してもらっている。金額や個人名はプライバシーに関わるので回答できない」と市民の質問に答えている。1000万円の報酬を当社から得ても、プライバシーだからと氏名さえ公表されないのは納得できない。(顧問の一人は秋山喜久元会長と公表)。あたかも天下りのように、顧問制度を役員退任後の受け皿にさせないためにもこの定款は必要だ。
 
第6号議案 定款一部変更の件( )
    提案の内容
第 章 脱原子力
第 条 当社は原子力発電を稼働しない
    提案の理由
 関電は原発の再稼働を画策しているが、これは経営的に見て妥当な判断とは言えない。関電に対して、「普通の会社」としての経営判断を要求する。
  「普通の会社」の意味するところは、自分の責任の取れる範囲で経営判断を行い、何があっても国民の税金に頼ることのないこと、回収できる見込みが予測できない投資は行わないことだ。
 その一例として、関電は原発の設備投資を、前回電気料金申請時の569億円から今回1126億円に増加させているが、福島原発事故後の新たな原発安全基準も策定されていない時点での投資は、原発再稼働により回収されるかどうかも分からず、リスクの大きい投資と言わざるを得ない。さらに原発は、仮に再稼働したとしても、その後の問題発生により予測できない形で全号機が停止に追い込まれる可能性が高く、よって原発は安定した発電方式とは言えない。冷静な経営的な見地からは、原発以外の発電方式に活路を見出すことを提案する。
 
第7号議案 定款の一部変更の件(
  提案の内容
章 再処理の禁止
 当社は再処理をしない
 提案の理由
 2003年、豊松副社長(当時原子力本部長)も参加した経産省の会議で「国から撤退をいいだす」「使用済核燃料は国の責任で処理する」「約2、7兆円の再処理のために積み立てた費用を電力会社が自由に使えるようにする」ことなどが電力側から再処理撤退の条件として示されたとの報道があった。当社幹部は経産省と「巨額の投資をしているので自分たちからはやめられない」「国がやめるといったらやめられるかも」というやりとりをしたという。しかし自民党重鎮の「再処理工場はずっと試験中でいい」という発言で再処理撤退は見送られ、本心はやりたくない再処理に10年間も無駄に電気代を注ぎ込んできた。六ヶ所村再処理工場の近くには長さ100kmにもおよぶ「大陸棚外縁断層」がある。1本で広島原爆30発分の放射能をもつ返還ガラス固化体は1442本(うち当社分656本)も保管されている。今こそ再処理から撤退するべきだ。
 
第8号議案 定款の一部変更の件(
  提案の内容
章 今後利益の見込みがない会社への出資、債務保証の禁止
第 条 日本原子力発電株式会社への出資、債務保証を禁止する
第 条 日本原燃株式会社への出資、債務保証を禁止する
 提案の理由
 日本原子力発電株式会社(以下日本原電)からの電力購入は福島原発事故後、2011年5月から停止している。それにもかかわらず、2011年には340億7900万円、2012年も約3百数十億円が当社より支払われている。電力を供給しない日本原電に多額の支払いを続けるのは不適切な取引である。経営陣は今後も、年間3百数十億円を日本原電に支払おうとしている。これは株主、消費者に多大な損害を与える行為である。日本原電保有原発は3基ある。敦賀1号は40年以上を経過した老朽原発であり、敦賀2号は原子炉直下に活断層が指摘されている。また、茨城県東海第2原発も地元の反対で稼働の見込みはまったくない。日本原電所有の3基の原発が稼働できる可能性はない。展望のない日本原電に対して、赤字である我が社が債務保証をすることはきわめて問題だ。417億円もの債務保証は株主、消費者に損害を与えかねず直ちに止めるべきである。