株主総会・書面による質問への回答 3

原子力に関する質問 豊松秀巳副社長
東京電力福島第一発電所の事故により、みなさまにたいへんなご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、同じ原子力事業に携わる者として重く受け止めております。当社は2度とこのような事故を起こさないとの固い決意のもと、福島第一の事故を踏まえ、電源の確保、原子炉冷却機能の確保、使用済み燃料プールの冷却機能の確保のための緊急対策をただちに実施し、多重性、対応性を拡充して参りました。またより一層の安全性、信頼性向上に期する○○についても、計画に基づき着実に実施しております。政府においても大飯発電所34号機について福島第一発電所を襲ったような地震津波が起こったとしても 事故を防止できる対策と体制は整っており、炉心損傷に至らないことが確認されております。(会場怒号)当社は規制の枠組みにとどまることなく、安全性向上対策を自主的かつ継続的に進めてゆくことが不可欠と考え、今後も福島第一事故に関する新たな知見への対応や、諸外国の動向も踏まえた最新の知見への対応も含め、原子力発電所の安全性向上対策を着実に実施して参ります。政府からは大飯34号機について福井県おおい町のご理解のもと、本年616日再稼動のご判断を賜りました。現在大飯34号機は再稼動に向け準備作業を進めております。
・次に原子力発電の安全確保に関する  当社は安全確保のため、電源の確保、水源の確保、浸水対策などの緊急対策をすみやかにかつ徹底的に実施しており、仮に福島第一で起こったような地震津波が発生したとしても蒸気を駆動源とするタービン動補助給水ポンプにより蒸気発生器2次側に給水し、放射能を含まない蒸気を大気に放出することにより、炉心冷却を継続することができるため炉心損傷に至らないことを確認しております。さらにタービン動補助給水ポンプが故障等で使用できない場合、電動補助給水ポンプを使用するなど、対策の多重化、多様化を図っております。仮に万が一炉心損傷が起こり、福島第一のように格納容器から水素が原子炉建屋に漏えいする場合でも、加圧水型では漏えいした水素はアニュラス部という区域に集められ、アニュラス排気設備を用いて滞留することなく放出されるため、爆発に至ることはありません。(会場怒号)また加圧水型は大型の格納容器を備えており、格納容器、スプレーポンプ、あるいはデイーゼル消火ポンプを用いて、格納容器内の圧力上昇を抑制できるため、(怒号)格納容器の健全性を維持することが可能であります。そしてさらなる安全性、信頼性向上のため、放射性物質の放出量を1000分の1程度に減少させ、住民の皆様の避難区域を極小化することができるフィルターベント設備を実施計画に基づき確実に実施していく予定です。(やってからにしなさい・怒号)施設背後の斜面については、基準地震動による○○周辺斜面の安定性について評価し原子炉施設の安全機能に、重大な影響を与えるような崩壊を起こさないことを確認しています。なお斜面を保護しているコンクリートの破片など万が一落下してきても配備した空冷式非常用発電装置に影響を及ぼさないように落石防護柵を設置するとともに、配備した2台の空冷式非常用発電設備を分散配置することにより、同一事象による被害を受けないようにしています。また津波地震の影響による土砂・がれきが発生した場合でも、コイルローター(?)などにより排除し、所定の期間内に電源確保、水源確保できることを確認しております。原子力発電所の要員については、平日・夜間・休日において複数ユニット同時に重大な事故が発生した場合に備え、外部からの支援がない状況でも、電源確保と水源確保ができるよう、大飯発電所の例では54名の常駐体制を構築しております。また2時間以内に事故対策要員約150名、24時間以内に協力会社支援要員150名が参集し、合計360名の体制を整えており、さらに神戸地区でメーカ技術者400名ないし500名が支援にあたることとしています。自然災害時の原子力発電所へのアクセスルートについては、大飯発電所の場合、万が一橋が崩落した場合においても、橋を経由しない別の陸路う回ルートが確保されております。(どこに!)陸路アクセスルートがすべて断たれた場合には。船とヘリコプターにより輸送ルートを確保することとしています。なお陸路のアクセスルートの多重化強化に向けアクセス道路の整備を原子力発電所の重要な安全性向上対策の一環として位置付け、積極的に対応していくこととしています。津波などにより現在の緊急時対策所が使えない場合、大飯34号機においては、代替として使用する中央制御室横の会議室は約380㎡と十分な広さがあり、耐震性を有し、津波を回避できる高さになるとともに、放射性物質流入防止のための換気空調設備が設置されていることから事故時の対応に問題はありません。さらなる安全性信頼性向上のため免新事務棟について実施計画に基づき着実に整備していく予定です。
・次に原発の運営に関して  当社は個々のプラントごとに定期安全レビューにおいて最新知見の反映状況を確認するとともに、運転開始後30年を経過したプラントについては、60年運転を想定した高経年化技術評価を行うことにより、長期的な安全、安定運転が可能であることを確認されております。さらに運転期間40年を超えた美浜1号機では主要機器の取り替えを実施するなど保全に万全を期すとともに、高経年化技術評価をした結果技術的には、60年運転が可能であることを確認しており、その内容については国により審査了承されております。しかしながら、美浜1号機および今後40年を超える原子力プラントの運転については、原子炉等規制法の改正などを踏まえ、検討して参ります。
・次に耐震安全性に関する  原子炉を止める、冷やす、および放射性物質を閉じ込めることに関する施設について、十分に余裕をもった耐震設計を行うなど、万全の震災策を講じております。また適宜最新の知見に照らして耐震安全性を評価、確認するとともに、自主的に耐震尤度向上に取り組んでおります。1185年の地震を含め、原子力発電所の周辺で過去に起きた地震についても、適切に調査して上で基準地震動を作成しております。また当社の原発では、最新の調査書を用いて詳細な地質調査を実施し、地震を起こす可能性のある活断層を調査しております。さらにこれらの活断層の連動についても考慮した厳しい評価を行うなど地震が起こることを前提として原発の耐震安全性を確認しております。
・次に原発の作業体制に関する  発電所のプラントごとの定期検査時の作業人数については、ここ数年の平均で、ピーク時が2500名から3000名、平均が1700名から2700名であります。また作業請負体制については当社は元請け会社と契約し、作業安全、人数確保するために適切な管理を行っております。平成23年度の当社原発における作業員一人当たりの被ばく線量実績は、平均で美浜発電所0.6ミリシーベルトmSv)、高浜発電所1.0 mSv、大飯発電所1.4 mSvであります。最大でも20Svを超えるような被ばくはなく、法令に定める被ばく限度内で管理しております。なお、当社および関係会社による福島支援活動の被ばく線量については、現在までに個人最大線量でも1mSv未満であり、十分低いレベルであります。
・次に原子燃料に関する  現在発電所のプラントごとに使用済み燃料ピットに保管している漏えい燃料については、1体から13体であり、保管開始時期はS48年から平成21年であります。漏えい燃料は、健全な使用済み燃料と同様に、使用済み燃料ピットに保管しており、使用済み燃料ピットの水質は浄化装置によりに適切に管理しております。なお使用済み燃料ピットにおける保管期限はありません。使用済みピットに保管中の漏えい燃料36体の総放射能量は現時点で約2億ギガベクレルと評価しております。
・次に高速増殖炉サイクルに関する  将来エネルギー獲得競争の激化やウラン価格の高騰などが懸念されますが、高速増殖炉サイクルでは、今まで使うことのできないウランを燃料として利用できるため、長期にわたるエネルギー確保が可能となり、資源制約から解放される可能性があります。また、プルトニウムなどの長期にわたり放射能を有する物質を分離回収し、燃焼できるため、直接処分に比べ放射性廃棄物による環境負荷の低減も可能となります。また、フランスはじめロシア・中国でも開発が進められており、実現性の高い技術であると認識しております。したがって資源小国のわが国においては、将来の有力な選択肢としてその○○をめざし、研究開発を継続しておく必要があると認識しております。もんじゅについては、運転、保守点検から得られる知見や技術の蓄積に期待しております。
・次に関西原子力懇談会に関して  関西原子力懇談会は原子力の平和利用の推進、原子力放射線の基礎知識の普及啓発、放射線取扱技術の養成やさまざまな調査研究活動を行う団体であり、当社は原子力懇談会の活動趣旨に賛同し、法人会員として応分の協力をしております。以上で私からの答弁を終わります。                           (ここまで39分半)