株主提案議案(案)

本年は9議案です。

4月20日までに、合意書と受付票を、よろしくお願いします。

2020年

 第96回 関西電力株主総会 株主提案議案

 

第1号議案 剰余金処分案

  • 提案の内容 

 当期末における剰余金の配当について、会社側提案より1株あたり1円多くする。

  • 提案の理由 

 当社は株主総会を軽んじている。一昨年の総会前には不正金品還流に絡んで、国税局の調査が入った。総会直後の7月からは内部調査も始めた。その結果は内部で報告され、処分も行われた。また昨年の総会前には内部告発文書も届いた。しかし昨年の株主総会で不正金品還流の説明、報告は一切なく、社外取締役にも知らせなかったと報道された。昨年の総会で承認された取締役報酬の総額は5億円を超える。ここ3年間の取締役報酬を全て会社に返金、それを株主への配当に当てることを提案する。

また昨年の株主総会で「様々なご意見をお持ちの社外の方々からのお求めに対しては、そのお求めに応じて、説明や意見交換を行ない、お客様にご理解いただけるよう努めている。今後とも個別に調整のうえ丁寧に説明を行なっていく」と回答した。しかし現実は、福島事故前までは面談してきた団体との面談も拒否している。株主総会での虚偽やごまかしは許されない。

 

第2号議案 取締役解任の件

  • 提案の内容 

 以下の取締役を解任する。 

 森本 孝 取締役  

  • 提案の理由 

1 原発立地のため、高浜町の特定の人物、業者から長年に渡って会長、社長を筆頭とする多くの役員が多額の金品を受け取っていたことが発覚し、当社の信用を著しく失墜させたこと。

2 東日本大震災による福島原発の大事故が延々と継続し、更なる被害と汚染が拡大する中、高浜原発大飯原発を稼動させ、我が国を亡国に導こうとしていること。 

3 8年に渡って株主総会で当社の大株主である管内トップ3市、大阪市京都市、神戸市から出された「再稼動反対」、「脱原発」への株主提案や意見をことごとく無視し続けていること。

4「脱原発」を求める電気消費者の圧倒的な声に全く耳を傾けないこと。 

5 原発依存によって経営悪化を招き、株価を低下させ、株主に多大な損害を与え続けていること。 

6 経営環境の悪化を従業員・下請け労働者の労働強化でしのぎながら、一方で不必要な役員・顧問・相談役を多数抱え、不当に高い報酬を支払っていること。

 

 

 

第3号議案 定款一部変更の件

▼提案の内容

「第4章 取締役及び取締役会」に以下の条文を追加する。

(取締役の報酬個別開示)

第○条 取締役の報酬、その他の金品の受領に対し、個別に開示する。

▼提案の理由

 昨年、当社の幹部が高浜町元助役から総額3億2千万円という多額の金品を受けとっていたことが発覚した。原発の稼働は生命の危険が伴うもので、立地対策として寄付金等の名目で当社からかなりの金額の資金が流れていることは想像できるが、当社の幹部が逆に金品を受け取っていたことに驚きと怒りを禁じ得ない。これが公益企業と公言している会社なのか。 

 2016年4月、高浜原発1,2号機の運転延長のため、原子力規制委員会への提出書類作成に携わっていた当社の担当者が自死された。40年を超える老朽原発を稼働させるための書類はその方が月200時間もの残業を強いられた末に提出された。長時間労働による過労自殺として労災認定はされたが、当社はその方が社員であるかどうかも口を濁した。片や1億円を超える金品を受け取った幹部は夜の町で豪遊していたと報じられた。こんなことが許されて良いのか。 

 取締役の報酬を個別開示して会社の透明化を計るべきだ。 

 

第4号議案 定款一部変更の件  

▼ 提案の内容 

当社の定款に以下の章を新設する。

第 章 相談役、顧問及び嘱託 

第○条 経営の透明化を確保するため、相談役、顧問及び嘱託の役職を廃止する。 

  • 提案の理由 

 当社は、これまでの株主総会において顧問、相談役及び嘱託について明らかにしていない。株主の信任も得ず報酬額も非公開でありながら経営に影響力を及ぼす可能性があるこれらの役職は、経営の透明性の点からも問題があり、東京証券取引所は2017年から報酬、業務内容の報告を求めている。2019年10月提出の報告によると、相談役・森詳介(常勤、報酬有、1年)、顧問・藤洋作(非常勤、報酬有、1年)の2名を経済団体における社外活動等の業務で置いている。藤氏は2005年退任以降13年、森氏は2016年から3年現職にあるが、不正マネー還流が行われ、問題が明らかになり社内調査・報告がなされた当該時期を含め職務内容は明らかではない。

また不正金品を受領した八木元会長が第三者委員会担当の嘱託だ。自身が調査の対象である第三者委員会を担当するのは問題だ。

経営の透明化を確保するため、相談役、顧問及び嘱託は廃止すべきだ。 

 

 

 

 

第5号議案 定款一部変更の件

  • 提案の内容 

当社の定款に以下の章を新設する。

第 章  寄付委員会

第 条  寄付委員会を設置し、審議内容と結果を公開し、寄付の公平性、透明性を担保する。

  • 提案の理由

企業が利益追求のみでなく、社会に与える影響に責任を持ち、消費者や投資家など社会全体からの要求に対して適切な意思決定をすることが求められている。企業による寄付行為は企業姿勢をよく現している。

当社は高浜原発1号炉の設置許可が下りた翌年1970年から少なくとも14回、総額43億円、高浜町に寄付をした。そのうち35億円が森山元助役在任期間に集中しており、個人の影響で寄付が決められていた疑いがある。一部は個人口座に振り込まれており、地域工作、利権や不正の温床になっていた可能性がある。当社は過去に株主から寄付金について質問されても支出先・金額・時期など一切明らかにしてこなかった。高浜町以外の寄付先については、今もなお全く不明である。

寄付の判断は経営陣任せで、効果の検証も明らかでない。これまでの寄付実態を明らかにするとともに、新たに支出基準を作る寄付委員会を設け、今後の寄付金情報を公開する事を提案する。

 

 

第6号議案 定款一部変更の件

  • 提案の内容

当社の定款に以下の章を新設する。 

第  章 他社がおこなう原子力発電事業への出資・債務保証を禁止する。 

第  条

1 日本原子力発電株式会社(以下日本原電)が所有する原発の維持費を支出しない。 

2 日本原電が所有する原発の再稼働のための出資、債務保証をしない。  

3 北陸電力が所有する志賀原発原発維持費を支出しない。

 

  • 提案の理由 

2012年以降、当社は日本原電から電力供給を全く受けていない。しかし、原発維持費として支払っている金額は、2018年度で193億円にのぼる。日本原電への受電なき支払いは当社だけでも8年間で約1500億円になり、大飯1・2号の廃炉予定費用よりも多い。さらに当社は、運転開始から40年を超える東海第2原発の安全対策費3500億円の一部を負担しようとしている。かりに東海第2原発が稼働しても当社が電気を受け取ることはない。これは当社に受益もたらさない不当な出資だ。また本年に入って日本原電は、敦賀原発2号の地質調査データーを書き換えるという改ざんをおこなった。敦賀2号は原子炉直下に活断層が存在すると疑われている原発だ。安全委員会の会合において明らかになったデーター改ざんで、日本原電は信頼できる発電事業者ではないことを露呈した。このような日本原電に原発の維持費の支出、出資、債務保証をしてはならない。 

 

第7号議案 定款一部変更の件

  • 提案の内容 

当社の定款に以下の章を新設する。

第  章  再処理禁止

第  条  プルトニウムを取り出す危険でコストの高い再処理を行わない。

  • 提案の理由 

2021年度操業開始予定(延期は実に23回目)の六ヶ所再処理工場は、まだ原子力規制委員会で安全審査中である。再処理の過程で出てくる高レベル放射性廃液が223立法メートルある。廃液は発熱しているので、電源喪失などで冷却に失敗すると約23時間で沸騰して蒸発拡散、場合よっては爆発する。東日本大震災の時は外部電源が喪失したが、非常用ディーゼルが稼働した。もし津波などで非常用ディーゼルが損傷した場合、放出された放射能の量は福島原発事故の比ではなく、東日本壊滅の危機に直面していた。

プルトニウムを利用する高速増殖炉もんじゅ廃炉が決定した。日本は仏国の高速炉ASTRID計画に200億円投じたが、高コストを理由にこの計画は停止した。使用済核燃料を再処理せずにそのまま直接処分するコストは再処理の半分になるという試算を原子力委員会が出している。

危険でお金のかかる再処理はしないことを提案する。

 

第8号議案 定款一部変更の件(○)

▼提案の内容

当社の定款に以下の章を新設する。

第○章  贈収賄にかかるコンプライアンス

 第1条 公正な商習慣の範囲を超える贈答および接待の提供は受けない。

 第2条 上記提供を受けた場合、全ての収支を会計帳簿に記録し保管する。

▼提案の理由

 当社は2002年に社長を委員長とするコンプライアンス委員会を設け、関連指針およびCSR行動原則を策定、関連する相談窓口も設けた。2017年度に67件、2018年度に77件の相談を受けたが、いずれも「重大なコンプライアンス違反が確認されたものはなかった」と報告している。しかし、この2年度を含む長期間、社長、会長他多くの幹部が高浜町の元助役から多額の金品を受領したことが税務調査を発端に発覚した。当該委員長でもある岩根社長はあろうことか「不適切だが違法ではない」と釈明した。当社は2019年12月16日に「贈答および接待の取り扱いに関する規定」の運用を開始するニュースリリースを発したが、従来指針等の内容を超えず、本規定をもって金品受領問題の再発防止を担保できるとは思えない。定款に贈収賄にかかるコンプライアンスの章を新設し、当社の姿勢を明記、再発防止できる体制を構築することを提案する。

 

 

第9号議案 定款一部変更の件 

▼ 提案の内容  

当社の定款に以下の章を新設する。

第 章 脱原子力推進委員会 

第 条 経営基盤の健全化を図ることを目的として、脱原子力を推進するための脱原発推進委員会を設置する。

▼ 提案の理由

本年4月からの電力自由化での発送電分離で、福島原発事故の損失は小売会社、新電力が立て替え、発電会社に流れる仕組みができてしまった。容量市場が今後本格運用されれば、原発に毎年巨額の資金が支払われることになりかねない。電力会社に経営努力を放棄させていた総括原価方式が電力自由化で改善されるどころか、よくわからないうちに消費者が負担をする構造になっており、新設の広域機関(OCCTO)による国家統制電力会社化という最悪のシステム設計になっている。経営判断を必要としない今の当社は経産省の単なる関電出張所でしかない。今のままでは、株主の利益を確保するための経営自由度が無く、資本主義における株式会社とは言えない。当社が、経営的な自由度を奪われているのは、経営的なお荷物となっている原発保有しているからであり、経営陣の矜持を示すためにも、当社は経営的に不安定な原発廃炉とし、今後稼働してはならない。