メディアでは伝わらない 関電株主総会 その2

メディアでは大阪市長のことばかり取り上げる。それは一面。以下に記された投稿に今年の株主総会の特徴がある。それも時代の転換点を示すような・・・ 

 関電株主総会  その2 
  
動員株主
8時半からの受付を済ませ早速資料配りに表に出ると、開会は10時というのに急ぎ足でやってくる大勢のひとたち。なかなか資料を受け取ろうとしない。みんな顔つきが悪い。怒ったような不機嫌な顔ばかり。それもそのはず、関電側からの要請で朝早くからやって来て前のほうの席を占めようとする、いわゆる「動員株主」だ。いつも株主提案の趣旨説明や質問の時に野次を飛ばしたり、審議をすっとばして「採決を!」と叫んで議長に協力する。そして反対意見のひとつも言えず会社提案にただ賛成の挙手をするだけ。マスコミの「株主提案すべて否決」という大見出しの主役はこんなひとたちだ。
 
しかし、今年は一味違う。大阪、京都、神戸という大都市の首長が大株主として、市民の代表として参加しているのだ。マスコミは今回の総会をハシモト対関電といった構図で焦点のずれたとらえ方をしているようにみえる。3市を提案に向かわせた市民の力、切実な反原発の思いとその根拠こそ報道すべきだ。少数株主が訴えていただけの去年までと違い、3市が練り上げてこられた提案と説得力のある説明は確かに会場を支配していた。

3市、そしてそれぞれの提案


 3市共同の提案は経営や事業に関する情報開示、経営の透明性を求めるものや安全性の確保や事業形態の革新といったもので他の上場企業では当たり前になりつつあることも全否定されてしまう神戸市の代表が神戸市独自の提案を述べる時に市として真剣に時間をかけて纏め上げた提案だから十分に審議して欲しいと言われた。その真剣さにうるっときたが、議長は早く終わりたいだけだ。もうひとつのグループが毎年提案している「総会における議事の経過内容を(略)正確に記録し、議事録とする」といった生徒会でも当たり前のことすら否定する。毎年数時間を要しているのに議事録はぺらぺら。批判的な意見は載せられない。 原発の是非を問う以前の会社の姿勢からしてダメなのだ。3市の担当者は頼りにしていたであろう公益企業の関電さんの本性を知ってあきれ返ったことと思う。来年も頑張って欲しい。きっと流れは変わるから。

イメージ 1
関電何も答えられず


大阪市の提案はさすがに会社側には痛い提案ばかりで前日までに否決の見込みとされていたけれど、関電がいかにどっぷりと原発とそれが産み出す刹那のカネにとらわれているかをいっそう鮮やかにみせてくれた。TVではハシモト登場のインパクトばかりが流されていたが、その意義がまったく理解されていなかった。
 大阪市長橋下氏の意見と質問は以下のようなものだった。(事前に書面で質問を出しているが回答が無かったらしい。私たちの事前質問にも回答は無かった。答えられないならそう回答すべきだ。)
     会社側は将来的な株主のリスクについて説明するべきだ。都合のいいことばかり言って、必要な情報を提供しないなんて典型的な衰退企業の姿だ。
     Q-使用済み核燃料の処分方法について根源的な課題としてどう考えるか?再処理するのか?
     Q―中間貯蔵施設はいつまでにできるのか?
     Q―最終処分地は決まっているのか?
     Q―処分方法がきまらないままで関電の使用済核燃料はいつまでもつのか?(いつまで保管可能か)
     Q―将来的に家庭の自由な電源選択についての考えは?
     Q―発送電分離について広域的な視点でどう考えるか?
     Q―原発40年で廃炉との方針についてどう考えるか?
     Q―政府が原発の比率を15%までとしたとき、関電は何%か?
     Q―原発が何基止まれば赤字になるのか?
この、最後の質問には代替燃料コストとして数千億円、再稼動なしでは24年度も同程度と答えたがこれは答えになっていない。安定した電力供給のためといいながらお金のため再稼動するという本質が見えただけだ。他の質問にはまったく答えられなかった。核燃料サイクルはとっくに破綻しているのに問題をまだ先延ばしできると考えているのだ。
 私たちの提案とその資料によって、赤字になるのは代替燃料コストのせいだけではない、見通しの立たない再処理のために日本原燃(株)に毎年莫大な支出をし、原発事業のそこここで不条理な支出をし、原発のみに依存しリスク分散もせず突き進んできたからだということを明らかにしました。


大飯原発再稼動させない!


会場外では朝からずっと市民による再稼動に対する抗議が続いていたようです。会場でも、提案者はもちろん、一般の参加者からも再稼動をやめろという意見がたくさん出されました。
大飯原発敷地内の破砕帯について専門家から早急に活動性を調べるべきだと指摘されているにもかかわらず、これ以上の調査を不要と言い切り、あらゆる想定をして安全性を確認していると言い切るその姿勢をみんなが3・11前と少しも変わらないと言ってるのだ。
破砕帯が活断層かどうかわずかな日数、費用でトレンチ調査ができるから稼動前にやって欲しいと具体的な複数の意見、要望が出た。
当日、市民グループ超党派の国会議員が大飯原発の敷地に専門家(渡辺満久氏)と共に調査に出向いている情報を得ていたので、期待していたところ、調査可能なポイントがある旨早速情報が回っていた。
MOX燃料データ捏造の時も、市民が指摘しているのに本職の関電が大丈夫といって結局捏造されていて60億円もの損失だった。今度も市民の力で関電の判断を覆すことになるかもしれない。
 IAEAの基準をもとに、ベントも周辺の避難計画も無いところでの稼動は許せないという追及もあった。


外部評価


数日後に賛否の数が集約されて発表される。外部評価が気になる。世間は脱原発の方向なのにかたくなとしか思えない(京都市長の言)原発にしがみつく会社、株価は下がるばかり。海外投資家は冷徹に見限っていくだろう。壇上に並んだ19人の取締役。「東電は倍の規模でも役員の数は半分ですよ。」「取締役報酬の個人ごとの金額開示に毎回反対の会社、他社はドンドン開示に向かってますよ。役員天国の関電さん。」揶揄されても変わらぬ体質、方針。会社の体質が関西の、いやこの国の未来に大きな影響力を持っていることが恐ろしい。イメージ 2
 
たくさんのひとに本当のことを知ってほしい。きっと原発止めなきゃと考えるはずだから。