赤字なのに・・・高価なMOX燃料を購入
関電は「経常損益は425億円の赤字」と発表した。「原発の運転停止が赤字の 原因」と解説する人たちもいるが、ウラン燃料とMOX燃料の価格差に注目して いる報道はない。財務省の貿易統計6月分により、6月末に到着した高浜3号の MOX燃料の価格が明らかになった。
以下の通りである。
燃料集合体 20体 全重量13235kg。金額185億1396万円。1体 あたりの価格は9億2570万円/体になる。通常のウラン燃料は1体当たり98 00万円前後で推移ししているから、今回搬入された20体を比べると実に16 8億円も価格差があることになる。こういうことを不問にしているマスコミは先 ず恥じるべきだろう。
MOX燃料の価格とウラン燃料(貿易統計による)
MOX燃料価格
1999年 高浜8体 43億621万円 1体・・・ 5億3828万円
2010年 高浜12体 106億1731万円 1体・・・ 8億8477万円
2013年 高浜20体 185億1396万円 1体・・・ 9億2570万円
ウラン燃料
2009年 高浜40体 39億1866万円 1体・・・ 9797万円
2011年 高浜68体 67億7834万円 1体・・・ 9968万円
2012年 高浜72体 70億8789万円 1体・・・ 9844万円
2013年株主総会・議決結果
私たち株主129名(議決権1251個)からの提案に対しての賛成議決権数
提案した議案 提案理由、会場でアピールしたことなど |
賛成数(%) |
神戸市 | |
⑬取締役解任 原発依存を改めず、人々を危険にさらし、経営悪化をもたらしている。下請けの労働強化や役員の不当に高額な報酬など、社長の責任は重い。 |
211409個 (3.4%) |
棄権 |
反対 |
⑭電気事業においては安全第一 安全性置き去り、防災計画も不十分。不条理な大飯原発の再稼動は許されない。 |
1058533個 (16.9%) |
賛成 |
反対 |
⑮電気事業において微量の放射性物質も漏らさない。労働者を被曝させない。原子力発電事業においては環境も人も被曝は避けられないと言う本質に真摯に向き合うこと。 |
1089193個 (17.4%) |
賛成 |
反対 |
⑯役員の報酬・賞与の個別開示。顧問等の氏名公表・報酬個別開示 原子力依存を改めない役員たちの経営失敗が赤字・電気料金値上げを招いた。株主の信任を得るためにも個別開示が必要。天下りの受け皿にしないためにも必要。 |
1263305個 (20.1%) |
賛成 |
反対 |
⑰脱原子力 『普通の会社』としての経営判断を求める。自社の責任範囲で経営し、何があっても国税に頼らず、回収見込みのない投資はしないこと。原発以外の発電方式に活路を。 |
1040654個 (16.6%) |
賛成 |
反対 |
⑱再処理の禁止 本心はやりたくない再処理事業に無駄に巨費(電気料金から)を投じてきた。技術も行き詰まり、危険な高濃度核廃棄物がたまるばかり。今こそ撤退を。 |
1045483個 (16.7%) |
賛成 |
反対 |
⑲今後利益の見込みがない会社への出資、債務保証の禁止 電力供給の無い(株)日本原電への巨額の支払いは不適切な取引だ。日本原電所有の3基の原発が稼動できる可能性はない。展望の無い会社に赤字の当社が債務保証することはない。 |
1047549個 (16.7%) |
賛成 |
反対 |
修正動議
使う予定も無い核燃料を売却すべき。当社の事業報酬のもととなるレートベースに含まれている核燃料資産を売却すべき。原発が停止中にもかかわらず、MOX燃料を今運ぶ必要はない。MOX燃料はウランに比べてもはるかに危険。 |
837480個 (13.3%) |
? |
? |
↓以下は大阪市、京都市、または両市の共同提案から主だったもの。
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(両)経営の透明性の確保。 経営や事業に関する最大限の情報開示が必要。不適切な寄付をしないこと。調達価格の適正化を求める。 |
2074869個 (33.1%) |
賛成 |
賛成 |
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(両)取締役の報酬を個別開示。脱原発を目指し革新的に現在の経営方針を転換する為には徹底したコスト削減と経営の透明性を高めることが必要。 |
1822731個 (29.1%) |
賛成 |
賛成 |
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(両)取締役の責任免除。 社外取締役に適切な人材の招聘を容易にするため、責任限定契約を締結できるようにする。 |
2548690個 (40.6%) |
賛成 |
棄権 |
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(両)電力需要の抑制と新たなサービスの展開。スマートメーターの活用など、電力抑制に努め、節電・省エネの推進を契機とした新事業の展開。 |
1655765個 (26.4%) |
賛成 |
賛成 |
(大)再就職受け入れの制限。 取締役及び従業員等について、国等からの再就職の受け入れを行わない。(天下りの禁止) |
1048185個 (16.7%) |
賛成 |
棄権 | |
(大)取締役を10名以内とする。 当社が脱原子力、安全性の確保、発送電分離や再生可能エネルギーなどの大規模導入、天然ガス火力発電の新増設と言った事業形態の革新に向けて経営方針を大転換していくためには徹底したコスト削減と経営の機動性を高めることが必要。 |
861355個 (14.2%) 特に少なかった。 |
賛成 |
反対 | |
1654319個 (26.4%) |
賛成 |
棄権 | ||
京)脱原発と安全性の確保。次の3つの要件を満たさない限り原子力発電所を稼動しない。①論理的に想定されるあらゆる事象についての万全の安全対策。②原子力発電所の事故発生時における賠償責任が本会社の負担能力を超えない制度の創設。③使用済核燃料の最終処分方法の確立。 |
1352627個 (21.6%) |
賛成 |
賛成 | |
会社側からの2提案は可決。株主からの29提案はすべて否決されました。(大阪市と神戸市の議案に対する賛否はそれぞれの市のホームページより。)
2013年株主総会・議決の結果
6月26日、株主総会当日は朝から雨が降っていました。ときおり激しく降る雨の中、横断幕を持ち続けました。会場は神戸・ポートアイランドのワールド記念ホール。関電の株主総会が大阪を離れたのは初めてです。会場受付は2階にあり、傘を閉じて階段を上り、受付を済ませると、また傘をさして階段を下り、1階の会場に入っていく、このような人の流れになっていました。高齢の方たちや障がいのある方にとって配慮のない会場設営でした。今年は会場が広いのに昨年より人が少なく、空席がとても目立ちました。(今年1269人、昨年は3842人)。始まるとすぐ壇上から役員が頭を下げる。でも私たちよりずっと高いところにいます。
今回の株主総会で自治体からは、兵庫県知事、神戸市長、京都市長が関西電力に質問と意見を述べました。株主提案は大阪市、京都市の2市です。「脱原発」の主張に強弱はあっても、原発依存を少なくしよう、ということでは共通しています。特に京都市の門川市長は脱原発依存を明確にするように求めていました。京都市は議会決議もしています。このような自治体の意見表明は、徐々に関電に影響を与えると思います。
赤字なのに高い燃料を購入
株主の質問に対する回答の中で、2年続けて無視したのは電事連への分担金のことです。電事連から青森県やその他の機関、自民党にも多額の政治献金をしています。秘密のお金でもって暗躍するため、会計を公開したくないのです。
「原発は60年まで運転する」「再処理工場は順調」とか「原発が電気料金値下げに貢献した」というように答弁しています。また、「MOX燃料は高いが、ウラン燃料との差は僅かだ」と答えました。貿易統計資料で調べると1体あたり7億8,633万円の差があります。(2010年のMOX燃料と2012年のウラン燃料の比較)今回運ばれたのは20体なので157億円の差になります。これを関電はわずかな費用であるというのです。いくら高くても電気料金として徴収できます。このような経営者だから1㍗も発電しない日本原電に約300億円、北電・志賀原発に約200億円を支払っても平気なのです。
株主議案に賛成が最高20%
会社側提案含めて31議案。今年、大阪市長は出席していません。大阪市は京都市との共同提案を含め、川合弁護士が11議案を全て説明しました。京都市は1議案を趣旨説明しました。この中で、大阪市は「再稼働を決定した経過について取締役会議事録の開示請求」をしたと説明しました。そして、裁判所が開示するよう判決を下したのに、関電は拒否し、即時抗告をしています。どこまでも情報開示に消極的な関電です。
私たち脱原発株主7議案には最高20.1%の賛成票が集まりました。(役員の報酬・賞与の個別開示。ただし、取締役解任の議案は3.4%、その他は17%前後)大阪市や京都市そして株主共同提案を含めて、賛成が40%を超えているのは「社外取締役の免責」という提案です。社外取締役に忌憚なく意見を言ってもらおうという考えですが、支持が集まった理由は、免責してもらわないと怖くて社外取締役にはなれない、そのような表れでしょうか。次に関心の高いのは「経営の透明性の確保(大阪市提案)」33.1%です。京都市提案の「脱原発と安全性の確保」には21.6%の賛成が投じられています。株主提案の議案にこれだけ賛意が寄せられていることは大変なことです。
自治体に株主総会で「脱原発依存」の意見表明してもらうことは、大切だと思います。来年、大阪の橋下市長はひょう変するか、原発に関心がなくなるか、これも要注意です。
総会は午後2時48分に終了しました。所要時間4時間48分でした。そして、翌朝、高浜3号のMOX燃料が到着しました。
(株主総会以降、判明した貿易統計資料からのMOX燃料の価格。2013年高浜20体。全重量13,235㎏ 金額185億1,396万円。1体あたり661.75㎏・9億2,570万円と判明。ちなみにウラン燃料は9,800万円前後で推移している)
6月26日関電株主総会
4月17日、株主共同提案を提出しました。資格審査などを経て最終的に129名1251個で株主提案をすることとなりました。そのうち新しい方が20人以上、私たちの呼びかけに応えてくださいました。ありがとうございました。今年も大阪市、京都市が株主提案をします。私たちは両市に共同提案を呼びかけましたが、残念ながら応えていただけませんでした。
株主総会は10時からですが、8時半頃から横断幕をひろげ、アピールをします。
関電株主行動ニュースNo90を発行しました。少し残っていますので、ご希望の方はご連絡ください。
2013年株主議案(案)
ご賛同いただける株主のみなさまはご連絡ください。